

危機感と「北畠を愛する会」設立
(5)町内会の限界と「北畠を愛する会」の設立
その後、近隣住民は施主である辻裕子氏に対して、再度の説明会開催を求める要望書を提出しましたが、全く回答がありませんでした。積水ハウスはこのマンション建設に関しては町会長の了承があると当初から主張していることから、町会としての反対運動は困難であると考え、一方、北畠の多くの住民にかかわる問題でもあることから、町会の班を超えた反対運動を行う必要があると考えて「北畠を愛する会」を設立しました。
(6)建設反対運動の反省点
もっと早くから低層階を求める運動を起こすべきであったと反省をしておりますが、我々の誰もがこのような運動を経験したことがなく、建築その他の法に関しては全く無知でした。加えて地域の住民間の結びつきが弱く、お互いの意思統一、情報交換ができなかったために運動が遅れてしまいました。施主および積水ハウスは我々の無知に付け込んで、非常に姑息的で狡猾にも、個別に『ご挨拶』と称する一枚の用紙を示すことで十分に説明を行ったとして、大阪市に報告をしております。近隣のマンション建設例では施主、業者は住民に説明を行う専門業者を立てるなどして、十分な住民説明を行っているのに対して、この度の積水ハウスのやり方は全く住民を馬鹿にしています。
(7)工事協定書も結ばない工事
説明会だけの問題ではありません。工事中に事故を起こさないためにも、事故を起こした際の対処等についても、施主および工事業者事と住民は前に話し合っておく必要があります。ご存じのように建設現場周辺は、幼稚園、小学校、中学校の通学路でもあり、ジョギングなどの中学校の校外活動地域でもあり、工事の安全対策は重要です。他の建設例では通常は、建築業者と住民の間で細かな工事協定書が結ばれると聞いていますが、この度はこれらについても事前の話し合いすらなされていません。
その中で、恐れていたことですが、工事開始後すぐに建築現場の隣家の門柱の破損、邸内への塀の一部の落下等の事故がありました。『ご挨拶』と称する積水ハウスから配られた一方的な通告書の中に「事故の際には直ちに原因究明と補修を行う」と自ら記載しておりますが、事故後2カ月以上も放置したままです。その後、大阪市への通報後、現場監督が補修するとの提案を持ってきましたが、施主 辻裕子氏および積水ハウスからは謝罪等は一切なく、報告がなされているどうかも不明で、事故後に直ちに行うとした原因究明は全くなされていません。工事の安全のためにも、原因究明がなされるまでは工事を中断するように申し入れておりますが、何の回答もありません。
(8)ドミノ的高層マンション建設の端緒の危惧
聞くところによりますと、この地域ではさらに10階建て高層マンションの建築が既に計画されているとのことですが、情報は定かではありません。現在建設中のこの10階建てマンションがこの地域における高層マンション建設のドミノ現象の第一歩にならないために、私たちは何としても頑張らなければならないと思っています。この地区に住む私たちの使命と思っています。同じ町内に住む施主がこのような迷惑なマンションを建てること、その施主に対して話し合いや説得ができないことの責任も感じます。
(9)反対運動と地域協力
一方、私たちだけでは高層マンション建設を食い止めることは困難です。地域の方々のご支援が必須です。既にこれまで近隣のマンション建設に対して、地域住民として関わってこられた他の町会の方々からご協力をいただいております。また、「北畠を愛する会」としまして、北畠、帝塚山周辺の各戸に、この度の10階建てマンション建設計画反対の内容をポスティングさせていただきました。その結果、4月15日現在、3200筆近い反対署名をいただいております。住民の皆さんの関心の高さを実感するとともに、地域の方々のご協力に感謝をいたしております。今後、行政を動かしていくためにも、さらに多くの地域住民の方々のご支持をいただくべく、運動を進めていきたいと思っております。
(10)環境に調和した集合住宅建設を求めて
既にこの地域における別の高層マンションの建設が取りざたされているように、このような問題はこれからも私たち地域の様々な場所で起こることが予想されます。私たちは決してマンション建設そのものに反対しているわけではありません。北畠の環境に調和した集合住宅建設を求めて、大阪市内で最高の住宅地としてのこの地域の評価や価値を落とさない運動を進めていきたいのです。北畠を中心としたこの地域の環境を守るために、町会を超えた幅広い住民の運動が必要だと考えて活動を行っています。また、この度のマンション建設の問題に留まらず、この地域で今後起こりうるマンション建設への対処をはじめとする北畠の環境を守る運動は、これからも継続して行っていく必要があると考えています。