top of page

(1)この地域のマンションの建設事情

 

 それぞれの地域にはその地域の特色があり、それがその地域の方々の自慢でもあり、地域が愛されている理由でもあります。私たちの北畠地域は隣接する帝塚山と並んで、昔から大阪市内では高級住宅地として高い評価を受けてきました。また文教地区としての知名度も高く、特に阪南中学校、住吉高校、晴明丘小学校、帝塚山学院も近くにあることから、とても人気のある住宅地です。さらに北畠から姫松、帝塚山三丁目、帝塚山四丁目と続く情緒のある上町線のチン電通りは併用軌道になっており、旧熊野街道の一部でもあり、テレビドラマや旅行番組等で盛んに取り上げられる有名な通りです。このような住宅地域であることから、これまでマンション建設にあたっては地域に配慮して5~6階におさえられてきました。高さだけではなく、マンションの形状や色彩等についても、今日まで地域住民が協力してマンション建設に関わり、この地域の景観や環境を保ってまいりました。

 

(2)北畠駅前10階建てマンションの問題

 現在建設中の北畠駅前の10階建て高層マンションは、北側と西側が風致地区、更に東側に阪南中学校、南側が交番のある晴明丘中央公園に囲まれる地域で、この一角だけが風致地区を免れています。そこに目をつけて施主 辻裕子氏ならびに積水ハウスは風致地区、文教地区の真ん中に、法的に許される最大限のマンションを建てようとしています。ひとたびこのような高層マンションが建ちますと、これが前例となり、この地区にドミノ的に高層マンションが建つことになり、これまで近隣の方々が努力し、施主、建築業者の協力を得て5~6階に抑えてきた努力が、無になってしまいます。

 

(3)建築計画の事前公開に関する指導要綱違反

 各地方自治体は建築基準に適合していても、集合住宅建設にあたっては地域住民に十分に説明を行い、紛争が生じた場合にはお互いによく話し合って解決をするようにとのことで、条例や要綱を作っています。建築基準に違反すれば当然のことながら、建築はできません。一方、建築基準を満たしていても、住民は建設に注文をつけることはできます。各地で建設反対の住民運動がおこっているのはこのためです。大阪市にも『建築計画の事前公開に関する指導要綱』があり、施主、建築業者は住民に十分な説明を行い、紛争があれば話し合いで解決することが求められています。このために住民はできるだけ大きな声を上げる必要があります。
 この度の高層マンション建設にあたっては、施主と積水ハウスは十分な説明を行ったとの報告を大阪市に行っております。しかし私たち近隣住民は、建築現場直近の住民を含めて、説明らしい説明をほとんど聞いておりません。確かに10階建てのマンションが建設されることは事前に聞きましたが、それは積水ハウス社員が限られた直近の数件を戸別に突然に訪問し、玄関先で『ご挨拶』と称する一枚の用紙を示して、10階建てマンションを建てることを一方的に話して帰ったもので、説明とはほど遠く、通告に近い状況でした。ですから、日陰問題、電波障害、プライバシーの確保等々の問題について、また、どのような仕上がりのビルになるのか、賃貸か分譲か、マンション管理人を置くのか等についても全く説明がなく、資料ももらっていません。従って今後どのような問題が起こるかの予想すらできません。『ご挨拶』に来た時点で、積水ハウスに対して高層マンション反対を伝えた住民もいましたし、説明会を要求した住民もいましたが、これらは無視され、施主と積水ハウスは反対が無かったとしています。

 

(4)第1回説明会

 一方、多くの住民はいずれ詳細な説明会が開かれるだろうと考えていましたが、残念ながら開かれませんでした。地域の方々からは「どうなっているのか、容認しているのか」の問い合わせが私たちに相次ぎ、一部の直近住民が積水の課長代理に説明会開催を求めたところ、全く取り合おうとしませんでした。そこで近隣住民9人が署名捺印の上、説明会開催を求め、10月28日に晴明会館において説明会が開催されました。
 説明会の冒頭、積水ハウスの社員から、「この内容は録音して町会長に報告します」との話がありました。参加者全員が非常にこの発言に対して不愉快かつ不信感を持ちました。また、大阪市の『建築計画の事前公開に関する指導要綱』では説明会には誰でも参加できることになっているにもかかわらず、当日は限られた住民以外の参加は認められず、一部の参加者は退室を余儀なくされました。
 説明会の内容は全く建築説明になっていませんでした。私たちは、当然のことながら、10階建てマンション建設反対に沿っての質問を行いましたが、施主 辻裕子氏は業者に任せているとし、一方、積水ハウスは施主の命令で行っているとのことで、双方が無責任答弁に終始し、住民の質問に対してまともな回答がなされず、建築に関する図面は配られたものの、建築に関する詳細な説明は一切なされずに至る前に、責任ある対応を求めて散会となってしまいました。

反対の背景および第1回説明会

bottom of page